大熊町から郡山市寺院墓地への改葬。板碑型の石碑を模した新しいお墓への建て替え

福島県一円にてお仕事をさせていただいております、お墓のTRY(トライ)です。今回は、福島県大熊町にあったお墓を郡山市内の寺院墓地へ改葬し、新しいお墓を建立させていただいた事例をご紹介いたします。

郡山 寺院墓地 被災地大熊町から改葬

今回のお客様は当店の近くにお住まいの方で、「なかなかお参りに行けなくなったお墓を自宅の近くへ移したい」とご相談くださいました。お墓があったのは、東日本大震災で一時は町全域に避難指示が出された大熊町です。長い間立ち入りが制限されていた地域でもあり、お客様にとっても気軽にお参りできる環境ではありませんでした。そのため、ご家族やご先祖様を身近な場所で供養したいという思いから、郡山市内の寺院墓地への改葬を検討されていました。

 

大熊町にある墓地のようすです。ご一緒に現地確認をさせていただきました。震災から長い年月が経過していますが、周囲には人の気配も少なく、震災の影響がいまも残っていることを感じる状況でした。

 

墓地の中の様子です。周辺には、倒れてしまったままのお墓も見られました。大熊町は、現在も町面積の約半分が帰還困難区域に指定されています。こちらの地域も、数年前に立ち入り制限がやっと解除されたということでした。

 

お客様が長年お参りされてきたお墓です。とても古いお墓で、ご先祖様から代々受け継がれてきた歴史を感じます。お客様も「できることならそのまま移設したい」というお気持ちをお持ちでしたので、状態を慎重に確認しました。

 

正面から見た石碑です。とても大きな古い板碑型の石碑でした。正面にはご家名が大きく彫刻されています。おそらく仙台石という石で作られているのではないかと思われました。

 

背面には古くからの彫刻が残されていました。改葬後もご先祖様の歴史をきちんと残せるよう、記録のためお写真を撮りました。明治、大正などの古い彫刻もありました。

 

台座部分の確認です。実際に確認してみると、台座から下はコンクリートで作られていました。お客様の「板碑だけでも移設したい」というご希望で色々検討しましたが、このあと石の風化がかなり進んでいることが判明し、最終的には花立を移設し、お墓についてはこれからも安心してお参りできるよう建て直すことをご決断されました。

 

こちらは移設先となった郡山市内の寺院墓地です。墓地はまだご用意されていなかったので、お客様のお住まいからも近く、将来にわたってお参りしやすい環境の墓地を探してご提案しました。

 

移設計画のカラー図面です。まずは既存の板碑を活用する形で完成イメージを作成しました。

 

完成予想図完成予想図です。お客様と打ち合わせを重ねながら、これまでのお墓の雰囲気をできるだけ残せるよう設計しました。花立は既存のものを設置しています。

 

こちらは新しい石碑に彫刻する内容の確認です。これまで同様に、正面はご家名、背面は法名碑として彫刻します。旧墓地に刻まれていた文字を確認し、原稿を作成しました。ご先祖様のお名前や歴史を正確に引き継ぐため、特に慎重に作業を進めました。

 

石碑の設計図です。もともとの板碑のイメージで、額の加工も同じように設計しています。新しい耐久性の高い石碑に建て替えますが、代々大切にされてきた板碑の面影を残せるようにしました。

 

図面が完成し、大熊町での解体工事が始まりました。ご遺骨を丁寧に取り出して、閉眼供養を行った後に工事を進めます。これまで大切に守られてきたご先祖様への感謝の気持ちで、一つひとつ丁寧に進めさせていただきました。

 

解体が完了した様子です。墓地を更地に戻し、これで改葬元での工事が完了しました。

 

郡山市の移設先墓地では、基礎工事が始まりました。転圧して地盤を整えたあと、しっかりとした基礎コンクリートを施工します。納骨室は耐久性の高い御影石製のものをご用意しました。

 

基礎コンクリートが完成しました。中央の納骨室の中は土のままで仕上げています。まわりに水抜き穴を設け、雨水もここから地中に排出することができます。

 

石材の据え付け作業です。芝台の上に台座を設置するところです。耐震施工を施しながら慎重に設置を進めました。台座にはくぼみを設けて、石碑を埋め込んで設置する形をとりました。

 

石碑本体の据え付けです。くぼみに差し込みつつ、設置していきます。慎重に据えていきます。

 

工事完了です。大熊町で長い間守られてきたお墓のイメージを受け継ぎながら、郡山市で新たなご供を続けるための改葬工事が完了しました。以前の板碑を模した特徴的な石碑ですが、お墓の造りとしてはシンプルで管理しやすい仕様です。

 

正面のご家名、額部分など、以前の板碑の面影が感じられるよう設計した石碑です。余計な装飾はせず、これまで通りご先祖様を静かにお参りできる落ち着いた雰囲気を目指しました。昔のお墓の雰囲気を残しながらも、新しい石材で作られていますので、末永く安心してお参りできます。花立は、以前のお墓にあったものをきれいにクリーニングして設置しています。

 

背面には旧墓地で確認した文字を忠実に彫刻しました。歴史あるお墓の記録を後世へ伝える大切な部分です。側面には「再建」の文字も彫刻しました。

 

納骨室は、お墓の納められていたご先祖様のご遺骨がたくさんあったこともあり、将来を見据えて広めに設計しました。拝石に手をかけるところも設けて開閉しやすくし、ご納骨の際の負担を軽減しています。

 

無事に改葬工事が完了し、ご納骨法要も滞りなく執り行うことができました。お客様は震災以降、なかなか大熊町のお墓へ足を運ぶことができず、ご先祖様を近くで供養したいという思いを長く抱えておられたそうです。今回やっと改葬が実現したことで、「やっと近くで手を合わせられる」ととても安心されたご様子でした。このたびは、大切なお墓の改葬を当店にお任せいただき、誠にありがとうございました。長くお参りができず気がかりでいらっしゃったことと思いますが、これからも安心して末永くお参りいただければ幸いです。お参りされていてお困りのこと、ご心配なことなどございましたら、いつでもお気軽にお声掛けくださいませ。